全期前納払いとは?学資保険の保険料を全期前納払いするメリット・デメリットと変更方法

学資保険をまとめて支払おうと考えるとき、「全期前納払い」もしくは「一時払い」のどちらかを選ぶことになります。

しかしこの全期前納払いというものを、きちんと理解している方はあまりいらっしゃいません。

でも、「学資をしっかりと計画的に貯めたい!」と思う方にとって、全期前納払いにはメリットがたくさんあります。

保険料にはセールや値引きがない分、自分が賢くならないと、得をすることはできません!

全期前納払いには、一時払いよりも運用面でデメリットがある反面、生命保険料控除や死亡時のリスク保障の面では大きなメリットを受け取ることができます。

そこでまずは、一時払いと比べたときのメリット・デメリットを知って、大切なお子さまのための学資を効率よく貯めていきましょう。

保険料はまとめて支払った方がお得~全期前納払いの活用方法

学資保険は、月払いで契約することが一般的ですが、実はさまざまな方法で支払うことができます。

どの種類の保険商品であっても、保険料というものは、小分けにして納めるよりもまとめて支払った方がお得です。

保険会社に預けてある金額が大きければ大きいほど、返戻率(利回り)が良くなって運用メリットが高くなりますし、保険料の支払い総額も少なくなるからです。

そしてこの考え方は、生命保険や医療保険よりも、貯蓄性を重視する学資保険だからこそ有利になる考え方です。

しかし、目先の返戻率だけで支払い方法を決めてしまうと、デメリットを受けてしまうこともあります。

全期前納払いと一時払いの違いは、支払った後の保険会社での扱い方

学資保険の保険料を一括で支払うときには、「全期前納払い」と「一時払い」の2種類があります。

これにはどのような違いがあるのでしょうか。

まず、契約者がとる行動は、両方とも一緒です。

「保険会社に、保険料を、全額支払ってしまう」ということだけです。

しかし、全期前納払いと一時払いは、保険会社によるその後の処理方法に大きな違いがあります。

全期前納払い


契約者が支払ったお金は、いったん保険会社が預かり、保険会社が期日ごとに保険料に小分けに充当していくことになります。

一時払い

契約者が支払ったお金は、即時、全額が保険料として充当されることになります。

おこづかいの渡し方で例えてみると…

充当?といわれても、はじめて聞く方にとっては理解しにくいかと思います。

そこで分かりやすく、「父親が、子どもにまとまった額のおこづかいをあげるとき」に、例えてみましょう。

一時払いは、「全額をまとめて子どもに渡してしまう」ということになります。

それに対する全期前納払いは、「全額をいったん母親に渡して、毎月、小分けにして子どもに渡してもらう。渡す前のお金は母親でキープし、守っておく」というイメージですね。

家庭内でよく見られる、上記の2つの方法には、それぞれにメリットとデメリットがあると思います。

そしてそれこそが、全期前納払いと一時払いにも通じるメリット・デメリットなのです。

なお、このことを調べていくと「一括払い」という表記方法も見られますが、一括払いは保険会社によって、一時払い・全期前納払いをまとめて意味する場合と、どちらか取り扱いのある方だけを意味するケースがあります。

全期前納払いのメリットとデメリット

それでは、全期前納払いと一括払いのメリットとデメリットを具体的に見ていきましょう。

総額保険料は「一時払いの方が、少なくて済む」


保険会社に預ける金額が大きい場合、もしくはまとめて支払う場合に、保険料が割安になることがあります。

一般的な生命保険でも、月払いよりも年払いの方が、保険料が少し安くなるということがありますが、それと同じです。

一時払いは、支払った全額が保険料となるため、割引額は大きくなります。

全期前納払いは、契約者の手からお金が離れた…ということでは一緒ですが、割引の適用がされないこともあります。

これは保険会社によって変わるため、確認が必要です。

返戻率は、「一時払いの方が高いが、全期前納払いも、月払いよりは高い」

「学資を少しでも貯めたい」と思うときに、一番気になるのが返戻率でしょう。

一時払いでは、納めた全額が保険会社の運用対象となります。運用資金が大きいということは、契約当初から効率よく運用ができるということ。当然、返戻率は上がります。

全期前納払いは、一時払いと比べると、運用面ではやや劣ります。

なぜなら、全期前納のお金はあくまで保険会社に一時的に預けているだけで、保険料として充当された分しか運用対象にはならないからです。

ただし、月払いよりは返戻率が高いケースが多いでしょう。

これは、保険会社にとっては先に保険料の全額を受け取ってしまうことで、保険料未払いや途中解約のリスクが大幅に下がるため。その分、月払いよりも高い返戻率を実現できるからです。

どれくらい返戻率が変わるのか、メリットを受け取ることができるのかは、契約年齢や商品によって変わります。

加入前にしっかりとシミュレーションをしてみることをおすすめします。

学資保険の返戻率とランキングについてはこちらの記事で詳しく解説をしています。

生命保険料控除は「全期前納払いの方が、有利」


年末調整もしくは確定申告で受ける生命保険料控除の扱いに、大きな違いがあります。

学資保険の保険料は、「一般の生命保険」として控除枠が使えますが、その枠の上限は毎年8万円です。

つまり、大きな金額の保険料を一括で支払ったとしても、支払った年にしか8万円以上の控除はされず、翌年からは生命保険料控除も受けられないということですね。

対する全期前納払いでは、保険会社に預けたお金を、毎月(毎年)小分けにして納めてもらっているため、生命保険料控除を毎年申告することが可能です。

この場合は、保険会社から控除証明書が毎年郵送されてきます。

契約者が死亡したときは「全期前納払いの方が、有利」

契約者の死亡時のことも考えておきましょう。

一時払いでは、もちろん学資金は保障されます。

しかし一時払いで払い込んだ保険料は、払込時に保険料として充当されてしまったため、返還されません。

また、保険料を全額支払い終えている以上、保険料払込免除特約(契約者が死亡した後に保険料を支払わなくてもよくなる特約)を付けることは当然できません。

全期前納払いで契約者が死亡したときには、まだ保険料に充当されていない分は返還されます。

そのとき、保険料払込免除特約を付けていれば、その後の保険料は免除となり、予定通りの満期時に学資金を受け取ることが可能です。

ただしこれは、学資保険のみを見たときの考え方です。

両親死亡時に備えた生命保険に加入せず、学資保険にだけ入っている…という方は少ないでしょう。

もし、生命保険などで死亡時に備えた準備がしっかりとできているなら、学資保険については割り切って、返戻率を重視した一時払いを選択する、という判断もあるかと思います。

保険会社が倒産したり、解約をすると保険料はどうなるか


学資保険は、とても長期的な保険です。

また、子どもための教育資金という大切で大きな金額を預けることになるため、信頼できる保険会社に預けることが必要です。

しかし、保険会社といっても、いつどうなるか分からないご時世です。不況による倒産などの非常事態が起きないとは限りません。

万が一保険会社が倒産したときは、救済保険会社があらわれ、契約を引き継ぐのが一般的です。

そのときは契約者保護の観点から、保険金や解約返戻金が減ってしまうということは、あまりありません。

しかし、救済保険会社が決まらないこともあります。

そのときは、「生命保険契約者保護機構」が、契約などをまとめて引き継ぐことになっています。

しかしどちらにしても、倒産時の状況によって、何が起きるかは分かりません。

契約は維持できても、予定利率が引き下げられ、契約時の返戻率が下がってしまう可能性はあります。

一時払いはどうなる?

保険会社の倒産によって、予定利率が下がり、満期まで預けておくことのメリットが減った…というケースでは、一時払いした学資保険を解約したいという方も出てくるでしょう。

解約の場合、すでに全額が保険料として充当されているため、当然解約返戻金があることになりますが、その解約返戻金も当初の予定より減額される可能性があります。

全期前納払いはどうなる?


全期前納払いの場合も、倒産時までに払い込んだ保険料分の契約返戻金が存在しますが、それも減額される可能性があります。

全期前納払いでは、まだ保険料に充当していない、預けたままのお金があるはずです。

その未充当のお金は、本来は全額が返還されないといけません。

しかし、きちんと返還されるかというと、保険会社によってはそれができないほどの財政破綻を起こしてしまっていれば、未充当分が手元に戻ってこないというケースも予測されます。

全期前納払いに変更をする方法

契約時にはとりあえず月払いで契約したけれど、まとまったお金ができたので全期前納払いにしてしまいたい、という場合は、どうすればよいのでしょうか。

契約の変更ができるかを確認する

まずは、月払いや年払いから、全期前納払いに変更することが可能かを、保険会社に問い合わせてください。

支払い方法の変更は、いつでもできるわけではありません。

また残りの契約期間などによっても条件が変わる可能性があります。

今まで月払いだった契約の払い方を変更するときは、一番初めの契約日が8月1日だった場合、翌年以降の8月(契約月)にしか変更ができない…などの条件があるため、「今、お金があるから」と、急に契約を変更できるわけではないことを知っておいてください。

前期前納払いに変更するときの注意点

全期前納払いに変更を考えるときは、変更後の返戻率などのシミュレーションも保険会社から取り寄せましょう。

また全期前納したお金を、何回に分けて充当するか…などの細かい設定も検討することになります。

とりあえず、という気持ちで契約を変更してしまうことはおすすめできません。

また、いくらメリットがあるからといって、手元の資金が十分ではないままにまとめて支払ってしまうことにはリスクがあります。

学資保険をまとめて支払うということは、住宅ローンの繰り上げ返済のようなもの。

家計とよく相談してから決めてください。

全期前納払いまとめ


一時払いと全期前納払いは、メリットとデメリットを理解して運用することが大切です。

返戻率だけを見ると一時払いが有利に感じますが、長期的な視点からすると、全期前納払いにメリットがあるともいえるでしょう。

ただし一時払いも、2本目の学資保険であったり、金利が高い時期の契約であれば、場合によってはおすすめができます。

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