東京海上日動あんしん生命の「こども保険」は、学資をしっかり貯めたいという目線で見ると、返戻率の低い学資保険です。
そのため、学資保険を比較するときに他者と並べると、「返戻率が低い!」と、選択肢からあっさり外されてしまうことがあります。しかし、そもそもこの商品タイプは、「貯蓄型」ではなく「保障型」。
最近人気の学資保険は、各保険会社がしのぎを削って0.1%でも返戻率を高めようとしています。そのため、わざわざ返戻率が低いままにしておくはずはありません。返戻率の低さには、それなりの理由があるのです。
返戻率が下がる代わりに手に入るメリットの一番は、契約者と子どもに万が一のことがあった場合の死亡保障です。
死亡保障については、「そんなもの要らない」という方もいれば、「それならいいかも」と思う方もいらっしゃるはず。まずは「保障型」の学資保険の、どこに保険料が充当されているのかを知り、また家計状況のバランスを考えた上で検討するためのポイントを解説します。
東京海上日動の学資保険は返戻率は低め「保障型」の学資保険

東京海上日動あんしん生命の「こども保険」は、子どもが0歳〜9歳まで加入できる、「保障型」の学資保険です。
「保障型」とは、学資を貯めるだけではなく、契約者である親に万が一のことがあったときの保障がしっかりついているタイプのこと。
つまり、貯蓄性もさることながら、本来の「保険」の役割が大きいため、返戻率が低く設定されているタイプの学資保険なのです。
そのため、「学資保険 返戻率」などのキーワードで比較をすると、どうしても「貯蓄型」の商品には負けてしまいます。
とにかく貯めたい!と考える方には不向きかも知れませんが、子どもが成長するまでの間の保障が手厚いということは、それなりのメリットでもあります。
東京海上日動「こども保険」の保障、4つの特徴

貯蓄型の学資保険は、満期までとにかく積み立てることで、支払った保険料よりも多くの満期金を受け取れる仕組みになっています。
しかし東京海上日動の「こども保険」は「保障型」ですので、支払った保険料のうち、保障に対して使われる分、貯蓄性が減るというイメージをもっていただけるとよいでしょう。
それでは、返戻率が低い代わりに、どのような保障が付いているのかを詳しく見ていきましょう。
契約者の死亡で、養育年金が受け取れる

契約者である親が死亡・高度障害となった場合、その後の保険料の支払いは免除となり、満期まで養育年金を受け取れます。
これは、契約者に万が一のことがあった場合、子どもが18歳の時点の最終学資金額の50%が、養育年金として満期まで遺族に支払われる、という制度です。
親が死亡してしまう…という最悪の事態はあってはならないことですが、不幸にもそうなってしまった場合、それなりにまとまった養育年金が受け取れるということになります。
また養育年金を受け取っても、満期時には予定通りの満期金も受け取れます。
それこそまさに「保険」の役割ですね。
ちなみに、この保険の満期は一律22歳です。
保険料の支払い自体は18歳で終わりますが、18歳〜22歳の間に契約者が死亡・高度障害になったとしても、22歳まで養育年金が受け取れるというメリットがあります。
子どもの死亡保障が付いている
契約者だけではなく、子どもが死亡してしまったときの死亡保障が付いているのも特徴です。
これは、ほかの会社にはあまり見られないプランです。
ただし、子どもが亡くなって受け取る保険金を喜ぶ親はいないはずですので、あくまでも「おまけ」として考えておきましょう。
なお子どもが死亡してしまった場合の保障は、病気が原因の場合は基準保険金額が、交通事故などの不慮の事故の場合は、基準保険金額の倍額が給付されます。
5年ごとに配当金が発生する

保険会社は金融機関ですから、契約者から預かった保険料を運用し、利益を出しています。
東京海上日動あんしん生命では、運用で利益が上がった場合、5年単位で契約者に還元する仕組みを取っています。
この配当金は発生後いつでも自由に引き出すことができます。
もちろん、運用利益が出なかった場合の配当金はありません。
低金利の時代が続いていますから、必ずあるとアテにせず、これも「おまけ」のつもりで考えておきましょう。
出世以前加入ができる

これは、他の保険会社でも可能なところはありますが、子どもの出生予定日の140日以内であれば、出世前加入をすることができます。
出生前加入のメリットは、「早くから貯め始めることで、月々の保険料を抑えることができる」ことと、「出産後は忙しく、保険契約などしていられないことが多いため、時間の取れる妊娠中に手続きを済ませられる」という2点です。
妊娠中に余裕があるなら、面倒な保険の検討や手続きを済ませておくことは、とてもおすすめです。
お祝い金の受け取り方に特徴がある

東京海上日動あんしん生命の「こども保険」は、その受け取り方に大きな特徴があります。
まず、「お祝い金」という名称の学資が、各入学直前の2月10日に、給付されます。
その給付額は、最終的に受け取る総額の割合で決まっています。
・小学校入学(6歳)時に、10%
・中学校入学(12歳)時に、15%
・高校入学(15歳)時に、25%
・大学入学(18歳)時に、50%
もし学資金を300万円貯めるつもりで積み立てていた場合は、
・小学校入学前に30万円
・中学校入学前に45万円
・高校入学前に75万円
・大学入学前に150万円
を受け取れるということになりますから、入学金や、入学準備のために役に立つでしょう。
お祝い金は据え置きが可能
もし、お祝い金を受け取る時期に経済的に余裕がある場合は、お祝い金を据え置くことが可能です。
そのときは、保険会社が継続して運用をしてくれるため、多少ですが最終的な返戻率が上がることになります。
また、一度据え置いたお祝い金を翌年に受け取る、ということも可能です。
たとえば12歳時に据え置いた分を、「やっぱり必要になった」と、13歳で引き出すこともできるのです。
東京海上日動の学資保険、返戻率と受け取りシミュレーション

以上、東京海上日動あんしん生命の「こども保険」には、さすがの手厚い保障が付いていましたが、その結果下がってしまうのが返戻率です。
契約シミュレーションを見てみましょう。
父親:35歳
子ども:0歳
契約者:父親
基準保険金額:100万円(総受取額200万円)
保険料総額:毎月の保険料×12か月×18年として計算
月々の保険料支払い額:11,173円
払込保険料総額:約241万円
返戻率:82.9%
契約者の年齢によって変動はありますが、返戻率が100%を大きく下回るケースが多く、少しでも多く貯めたいという方にとっては、大きなメリットはないかも知れません。
途中解約に注意

学資保険に限らず、どの保険でも同じですが、途中解約はほとんどのケースで損となります。
その中でも、返戻率の低いこども保険では、途中解約はそれまでに支払った保険料を大幅に下回る金額しか返ってきませんから、要注意です。
もし、「保険料の支払いが困難」という理由での途中解約であるならば、まずは保険会社に相談を。
商品によって変わりますが、保険料の減額や、契約者貸付制度などを利用して、保険契約を維持する方法を探ってください。
特に、このこども保険は、いざというときの「安心の保障」が売りの商品です。
解約でその安心すら失ってしまうことになっては、それまでに支払った保険料がまさしく無駄になってしまうからです。
安易な解約をしないよう、計画的に加入するようにしてください。
返戻率と、保障とのバランスの取り方

この返戻率を見ると、「東京海上日動あんしん生命のこども保険に加入したい!」と考える方はそういないでしょう。
しかし、返戻率の良し悪しだけで結論付けていいのか?という疑問も浮かぶことかと思います。
その問いに対するアドバイスは、「家計・ほかの保険とのバランスを見るしかない」ということになります。
たとえば、子どもが10歳のときに、契約者である父親が亡くなってしまったらどうなるのか?それを具体的に考えてみる必要があります。
そのときの判断材料は、10歳時点で予測される家計の状況、住宅ローンの有無などの、マネーシミュレーションです。
住宅ローンには「団信」といって契約者死亡でローンが軽減される「ローンの保険」が付いていますが、仮に賃貸住まいだったら、その家賃を支払っていけるのか?なども考えるべきです。
そのような状況になったとき、こども保険の保険料は家計に大きくのしかかってしまうでしょう。
また子どもの夢を諦めさせる…など、教育費を削ることになるかも知れません。
そう考えると、「養育年金」「契約者の死亡保険金」を受け取ることができる保障型のこども保険にも、存在意義は見出せます。
しかし、ほかの生命保険で、父親の死亡保障にしっかり加入している、また勤務している会社の福利厚生が手厚く、万が一のことがあっても家族への保障がある…など、備えがしっかりしているのであれば、学資保険は割り切って「貯蓄型」を選択するというのも、もちろんありでしょう。
このように、視野を狭くせず、「子どもと家族の将来プラン」だと思って、「貯蓄型」なのか「保障型」なのかを考えてみてください。
一番大切なのは、納得して学資保険に加入することです。
返戻率については下記の記事で詳しく解説をしています。
関連記事⇒学資保険の返戻率ランキング
東京海上日動の学資保険まとめ

東京海上日動あんしん生命の「こども保険」は、学資を効率よく貯めたいという方にとっては、メリットが少ない商品といえるでしょう。
とはいえ、契約者に何かあったときには、大きな安心をもたらしてくれる商品であることは間違いありません。
何らかの理由で、他に生命保険での備えがない…などの事情がある方には、検討に値する商品かも知れません。
また、2本目の学資保険に利用するという使い方もできます。
他で加入している貯蓄性保険商品との組み合わせを考え、「保障型」ならではのメリットを受け取れるような契約方法を考えてはいかがでしょうか。

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