学資保険の資料を見ていると、「お祝い金」という言葉をよく見かけませんか?
せっかく貯めるのなら、プチボーナスがもらえたら嬉しいな~とイメージしている方も多いのではないでしょうか
しかし、小中高の入学時に受け取れる学資保険のお祝い金は、積み立てた保険料の前払いであり、特別に受け取れるボーナスとは性質が違います。
そのお祝い金をセットするも、しないも、契約時の決定が重要。
まずはそのメリット・デメリットを知り、自分の契約に必要なのか、いくらをセットするのが妥当なのかをしっかり検討してみましょう。
また、お祝い金は年末調整の控除枠が使える代わりに、受け取り時には、所得税や贈与税がかかってしまうケースがあります。
受け取り時に困らないためにも、契約者・受取人を誰にしておけば良いのかを、しっかり検討するようにしましょう。
学資保険のお祝い金とは

学資保険は、おもに0歳〜6歳の子どもの大学(高校)入学の年を満期として、計画的に学費を積み立てることができる保険です。
本来なら満期にしか満期金を受け取れませんが、学資保険の中には「お祝い金」をセットできる契約があります。
これは小学校・中学校に入った年などにまとまったお金を受け取り、入学資金の足しにできることから、利便性が高く、セットしている方も多くいらっしゃいます。
しかしこの「お祝い金」には、いくつかの知っておきたいポイントがあるため、まずはその特徴を理解し、どのように使うかを検討しましょう。
学資保険のお祝い金はボーナスではなく、満期金の事前受け取り

お祝い金と聞くと、なにやら特別なボーナスのように感じますが、そうではありません。
本来は満期時に受け取るお金の一部を、事前に少し小分けにして受け取る、というだけのことです。
たとえば、18歳を満期として250万円を貯める契約だった場合、小学校・中学校入学時にそれぞれ30万円ずつのお祝い金を受け取ると、満期金は190万円に減るということですね。
ということは、お祝い金は、積み立てた保険料から出ているということになります。
お祝いという名称に惑わされず、あくまでご自身で支払った保険料の前払いであることを覚えておきましょう。
学資保険のお祝い金は、いざというときのお守りになる
契約時には「満期金で大きく受け取りたいから、お祝い金は不要」と考える方も多くいらっしゃいますが、子どもの成長過程には予期しないことが起きます。
何かの才能に目覚め、特別な小学校に入れることになった…家族の誰かの病気で治療費がかさみ、中学校入学の費用を出すのも大変になった…などの、さまざまな状況があるでしょう。
そのとき、数十万円のお祝い金は、とても役に立ちます。
学資保険のお祝い金据え置きのメリットと、途中解約のデメリット

逆に、当初の計画よりも経済的に余裕が出て、お祝い金を使わなくても良さそう…ということもあるでしょう。
そのときは、お祝い金を据え置くことができます。
この場合、据え置いた分にも利息が付くため、最終的に受け取る金額が増えるというメリットがあります。
また、据え置いた分は、保険会社に申し出ることによって、必要なときに引き出すことも可能。学費の運用に多少の変更があったときの備えにできるのは、大きなメリットです。
逆に、保険料が生活費を圧迫するなどの理由で、途中解約をしてしまうのはおすすめできません。
その場合は、それまでに支払った保険料をかなり下回る解約返戻金しか手元に戻ってこない、というケースがほとんどです。
学資保険のお祝い金はいくら貰えるのか

それでは、お祝い金はいくらくらい受け取るのが適切なのでしょうか。
学資保険のお祝い金の金額はケースバイケース
お祝い金は、契約時に設定します。
その金額をいくらにするかは、毎月の保険料や、加入の年齢などによって変わるので、一概に「いくらがいい」とはいえません。
たとえば4歳で学資保険に加入し、6歳の小学校入学時にお祝い金を…と思っても、たいした額が貯まってはいません。
またお祝い金を10万円程度に設定しても、雑費で使い切ってしまい、「助かった」という意識が持てないまま満期金を減らしてしまった…という失敗談もよく聞かれるからです。
満期金の額が大きいなら、お祝い金をセットするのもひとつの手

判断の基準として、満期金の額が大きいのなら、小中高の入学時にお祝い金を受け取ったとしても、メリットが受け取りやすい、とお考えください。
0歳加入、18歳満期、毎月20,000円の保険料の学資保険に加入したとします。
その場合、単純計算で18年後には432万円が貯まっていることになります
そこから、小中高の入学時に毎回30万円のお祝い金を受け取ったとしましょう。
432万円から30万円×3=90万円を差し引いても、342万円。大学入学に関する費用としては、そこそこまとまった金額であるといえるでしょう。
このように、お祝い金をいくらするかは、本来の目的である「大学入学時に備える」ためであることを忘れず、のちのちの負担にならない程度に決めることが必要です。
学資保険のお祝い金の請求方法

学資保険は、お祝い金を受け取る時期や、満期になっても、勝手に振り込まれるわけではありません。
契約者が保険会社に対して、請求をする必要があります。
お子さんの進路や学費に頭を悩ませる時期なので、学資保険の存在を忘れることは無いとは思いますが、満期月の2カ月前には、保険会社から満期金が記載された「満期通知書」が送られてきます。
一般的な学資保険のお祝い金の請求方法
お祝い金の請求は、一般的には保険会社の窓口もしくは担当者経由で行います。
窓口もしくは保険担当者を通じて手続きを行う際は、満期金を引き出したいということを伝えて必要書類を受け取り、支払い請求手続きを行います。
場合によっては、被保険者(子ども)の健康保険証が必要になるケースがあったりするため、どのような書類が必要なのかはしっかり確認しましょう。
また、「一部だけ受け取りたい」もしくは「今は必要がないので、全額据え置きたい」などの希望は、一番初めに伝えます。
どれくらいの金額を引き出すかによって、担当者の用意する書類が変わるからです。二度手間にならないように、満期金の使い道はハッキリ決めておきましょう。
また請求手続きは、郵送で行うことも可能です。
この場合は、コールセンターなどの満期金を引き出したい旨を申し出て、必要書類を郵送してもらい、記入して返送します。
申請が受理されてから、5営業日程度で、口座に着金します。
しかし、手続きに不備があったり、やり直しが発生してしまうと、受け取りがどんどん遅くなってしまうため、請求手続きは正確に行うようにしましょう。
代理人が学資保険のお祝い金を請求する方法

契約者が何らかの理由で手続きができないときは、指定代理請求人が請求手続きを行います。
たとえば契約者である父親が海外にいる、重病で手続きができない…という事態も、発生しないとは限りませんよね。
指定代理請求人は、契約時に決められています。
もちろん誰でもいいわけではなく、配偶者もしくは3親等以内の血族となっています。
子どもが生まれてから、進学するまでに、何が起きるか分かりません。
指定代理請求人は、所定の手続きをすれば契約途中で変更が可能です。
いざというときに困らないように、ときどき契約内容を確認しておくことも大切です。
学資保険の保険金にかかる税金と計算方法

学資保険は、貯蓄目的といってもれっきとした保険商品です。
そのため、年末調整もしくは確定申告のときに、保険料控除を申請することが可能です。
年末調整もしくは確定申告の、所得控除の枠には「生命保険料控除」があります。
それはさらに「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3枠に分かれていますが、学資保険で支払った保険料は、「一般保生命保険料」に該当します。
つまり、学資保険に対して支払いを続けている間は、税制面で優遇されるということですね。
しかし、お祝い金・満期金の受け取りには、税金がかかるケースがあります。
これは一律ではなく、契約者・被保険者(子ども)・保険金受取人がどのような組み合わせになっているかによって変わるため、注意が必要です。
契約者が両親で、両親が受け取るケースに必要な税金

契約者が両親のどちらかであり、受取人も両親である場合、基本的には所得税が適用されます。
これは、「自分の積み立てたお金を、自分で受け取った」ということと見なされ、所得の一部であると扱われるからです。
お祝い金を受け取る場合に必要な税金
基本的には、お祝い金すべてが所得税の対象となります。
ただし、お祝い金を受け取るまでに支払った保険料の合計額と、お祝い金の差額が50万円以内におさまっていれば、免除されます。
気を付けて欲しいのは、「この場合のお祝い金の受け取りまでに支払った保険料の合計額」とは、それまでに支払った保険料から、すでに受け取ったお祝い金を引いた金額であるということ。2回目、3回目にお祝い金を受け取るときは、念のため注意しましょう。
満期時に一括で受け取る場合
お祝い金ではなく、満期時に全額を受け取る場合は、それまでに支払った保険料の合計額と、受け取る金額の差額が50万円を超えることはほとんどないでしょう。
そのため、所得税が課されることはまずありません。
契約者が両親で、受取人が子どものケース

保険料を支払ったのは両親、それを受け取るのが子ども、というケースでは、子ども本人は保険料を負担していないため、贈与税の対象になります。
贈与性には、年間110万円までの非課税枠がありますが、学資保険の満期金は110万円をこえることが珍しくないため、気を付ける必要があります。
契約者が祖父母のケース
子どもが生まれたとき、おじいちゃん・おばあちゃんが契約者になって学資保険に加入してくれたら、とても嬉しいですよね。
しかし税法上、大きな落とし穴があります。
それは、契約者が祖父母で受取人が孫、もしくは孫の両親である場合は、受け取るタイミングに関わらず、すべて贈与税がかかってしまうということです。
不安なら、必ず専門家に相談を

学資保険は長期で考える保険です。
安易に契約をしてしまうと、最終的に税金面で損をしてしまうこともあるため、契約前にシミュレーションをする、ファイナンシャルプランナーなどに相談をする、などの事前確認が必要でしょう。
どのように税金がかかってしまうかは、ケースバイケース。
会社員ではなく、複数での事業所得がある場合は、一時所得の計算も変わりますし、また一括で受け取らず、分割に変更した場合は雑所得になる、などの細かい条件も関係してくるからです。
また、受取人が子どもで、かつ受け取り時の年齢が20歳以下のときと、20歳以上のときでは、贈与税の控除額も変わります。
素人の計算では対応できない部分もありますので、悩んだ挙句に、対応を間違って損をしてしまった…などということがないよう、しかるべき専門家に相談することも検討してみてください。
学資保険と税金の関係については下記の記事で詳しく解説をしています。
参考記事⇒学資保険の受け取りに税金はかかる?支払う税金と対策を現役FPが1番分かりやすく解説
学資保険のお祝い金まとめ

学資保険は、メリットとデメリットを見定めて利用するには、とてもよい商品です。
銀行に預けるよりは金利もよく、また半強制的に積み立てることができるため、計画的な家計運用ができるからです。
ただし長期的な保険であること、税金面での注意点が多いことなどを念頭に置き、「しまった!」ということのないように加入してください。

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