学資保険を始め、保険に加入する際は保険料の払い方を選ぶことができます。
じつは払い方が違うだけで返戻率に差が出るのはご存知ですか?
同じ学資保険に加入するなら、少しでも返戻率がいいとお財布も助かりますよね。
ちなみに、既に学資保険に加入している方も、払い方を変えるだけで返戻率を上げられる可能性があります。
この記事では学資保険と払い方の関係について、3つの視点からお伝えします。
- お得な順番から見る保険料の払い方の違い
- 払い方と保険料の違いのシミュレーション
- 一括払いと前納の違いと落とし穴
ぜひ、学資保険の返戻率を上げる参考にしてくださいね。
学資保険の保険料をまとめて一括で払うと返戻率が高くなる理由

知っているようで知らないのが、保険料をまとめて払うことで返戻率がよくなる理由です。
理由としては大きく2つが挙げられます。
- 保険会社が負担する手数料が減る
- 保険料を運用する期間が長くなる
それぞれ、どういうことなのか詳細を確認していきましょう。
保険料を払うための手数料は保険会社が負担している
銀行引落で保険料を支払う場合、基本的に契約者が手数料を負担することはありません。
クレジットカードでの支払いが可能な保険会社もありますが、保険料に支払い手数料が上乗せされることはほとんどありません。
つまり、保険会社が様々な手数料を負担していることになります。
保険料を一括払にすると手数料は1回分しか発生しないので、保険会社が負担するはずだった手数料が浮きますよね。
そのため、浮いた手数料が保険料に反映されて、毎月保険料を払うよりも一括で払った方が安くなります。
支払った保険料は、保険会社が運用して増やしている

保険会社は、保険を販売する会社というイメージが強いですが、投資家の側面も持っています。
社内にはお金を運用するプロがいて、リスクの少ない運用をすることで契約者から受け取った保険料を増やしています。
もちろん、支払い事由が発生した場合に対応するためのお金は保険会社に残しています。
毎月契約者が支払う保険料は、保険会社が一定の利率で運用する前提で決められています。
一括払にすると、保険会社が運用できる期間が月払よりも大幅に長くなります。
保険会社にお金が長期間ある方が、運用期間が長くなるので保険料が安くなります。
お得な順番から見る学資保険の保険料の払い方
保険料の払い方は大きく5種類に分けられます。
お得な順番に並べると以下のようになります。
- 一括払
- 前納払
- 年払
- 半年払
- 月払
しかし、5種類全てを設定している保険会社はほとんどありません。
一括払と前納払は、どちらかだけの保険会社多く、半年払を設定している会社は少数です。
それぞれ、どのような払い方なのか、メリットとデメリットと一緒に確認していきましょう。
一括払(一時払)で学資保険の保険料を支払う方法
保険契約にかかる保険料を、将来の分もまとめて全額一括で支払う方法です。
まとめて支払うことで、保険会社の運用期間が長くなるので、保険料の割引が大きくなります。
返戻率を上げるのに、最も有効な方法です。
また、保険料の払込が高額になるので、振込用紙で保険料を振り込む形になります。
メリットとデメリットは次のことが挙げられます。
メリット
- 保険料の支払いが1回で終わる
- 返戻率が大幅によくなる
デメリット
- まとまったお金が必要
- 生命保険料控除が1回しか活用できない※
- 保険料払込免除特約が使えない※
※印は次見出しで詳細説明します。
前納で学資保険の保険料を支払う方法
保険料を将来の分もまとめて支払う点は一括払と同じです。
しかし前納払は、保険料を保険会社が預かるだけで、契約には充当されません。
毎年の契約月に、保険会社が年払相当の保険料を契約に充当していきます。
メリット
- 返戻率が大幅によくなる
- 生命保険料控除を毎年使える※
- 契約者死亡の場合、未経過分の保険料が戻ってくる※
デメリット
- まとまったお金が必要
- 返戻率は一括払より下がることが多い
※印は次見出しで詳細説明します。
年払
契約月に1年分の保険料を支払う方法です。
本来であれば月払の保険料×12ヶ月の金額になりますが、年払にすることで少し保険料を抑えることができます。
ほとんどの保険会社で取り扱いがあり、一括払や前納払ほど保険料が高額にもならない点がメリットです。
現在月払で契約している学資保険でも、年払にすることで返戻率が上がる場合があります。
半年払で学資保険の保険料を支払う方法
契約月とその半年後の月にそれぞれ、半年分の保険料を支払う方法です。
月払の保険料×6ヶ月より、保険料が少し安くなります。
返戻率は年払より下がりますが、月払よりは良い点がメリットです。
しかし、保険会社によっては取り扱っていない場合があるので、事前にチェックが必要です。
月払で学資保険の保険料を支払う方法
最もベーシックな払い方で、指定しない場合は月払での契約になります。
毎月の保険料は指定された口座やクレジットカードから支払います。
決まった金額を毎月支払うので、積み立てている実感がわきやすい方が多いです。
払い方別で見ると、返戻率は一番低くなります。
このように、返戻率については支払い方によっても大きく変わってくるので注意が必要です。
各社の返戻率については学資保険返戻率ランキングの記事で詳しく解説をしています。
学資保険選びの参考にしてください。
支払い方法別!学資保険の返戻率シミュレーション

実際に気になるのは、払い方を変えることで保険料がどれだけ安くなるかですよね。
ここからは月払と年払、短期払などで保険料がどれぐらい変わるかを表で説明していきます。
(例)A社で30歳男性が受取総額300万円の学資保険に加入する場合
保険料を年払に変更することで、トータル11,520円の差になります。
返戻率で比較すると、
- 月払:3,000,000÷2,883,600×100≒104.0
- 年払:3,000,000÷2,872,080×100≒104.5
となるので、返戻率にも0.5%の差が出てきます。
(例)A社で30歳男性が受取総額300万円の学資保険に加入する場合
(例)B社で30歳男性が受取総額300万円の学資保険に加入する場合
それぞれの会社で、保険料の払い方が返戻率にどのぐらい影響するかがよくわかると思います。
保険料を払う期間が短くなるほど、保険料は安くなり、返戻率も上がっていきます。
全期前納は、全期間の保険料を全て保険会社に預ける方法なので、返戻率がぐっと上がります。
一括払と前納払の違いと落とし穴
一括払と前納払は大きな金額をまとめて支払う点は同じです。
しかし、仕組みが大きく異なるので、それぞれにメリットとデメリットがあります。
ポイントは以下の3点です。
- 生命保険料控除が使える回数
- 保険料払込免除特約が使えるかどうか
- 解約をする場合に戻ってくるお金
返戻率を上げるために一括払にしたら、後で後悔したということがないよう、しっかり確認していきましょう。
一括払と前納払での生命保険料控除の扱い方
学資保険は、年末調整や確定申告で「一般生命保険料控除」を利用することができます。
生命保険料控除は「その年に支払った保険料」に対して使えるので、一括払も前納払いも払った年しか使えないと思いがちですが、実は違います。
一括払の場合は、保険料を一括で支払った年しか生命保険料控除を利用することができません。
一方で前納払の場合は、毎年生命保険料控除を活用することができます。
一括払の場合は、保険料を払った時点で保険契約に保険料が充てられるので、1回のみの活用になります。
しかし、前納払は保険料をまとめて保険会社に払う点は同じですが、保険会社が保険料を預かって、毎年保険契約に充当していく仕組みになっています。
そのため、前納払は毎年控除を利用することができるのです。
契約者が死亡した場合、一括払と前納で何が違うの?
考えたくないことではありますが、学資保険は契約者が死亡した場合でも教育資金を準備できる点がメリットでもあります。
学資保険は契約者に万一のことがあった場合、契約を「後継保険契約者」に引き継ぐことができます。
そしてほとんどの学資保険は、契約者が死亡した後の保険料が免除になります。
学資保険に「保険料払込免除特約」が付加されているので、後継保険契約者は保険料を負担することなく、お祝い金や満期金を受け取ることができます。
ただし、一括払の場合は既に保険料の払込が終了しているため、免除になる保険料が存在しません。
そのため、契約者を後継保険契約者に変更する手続きのみになります。
払った保険料が返ってくることもないのです。
一方で前納払の場合は、未経過分の保険料が戻ってきた上で、保険料払込免除特約が力を発揮します。
保険料を保険会社が預かっている状態なので、まだ保険契約に充当されていない保険料に関しては戻ってきます。
その上で、以降の保険料の払込は免除になります。
一括払や前納払をした後で解約することになった場合は?
どうしても大きなお金が必要になって、学資保険を解約しないといけなくなった場合はどうなるのか気になりますよね。
一括払の場合は、契約時に受け取った書類に解約金の推移が示されています。
払った金額より少なくなってしまうので、注意が必要です。
前納払の場合は、既に保険契約に充当されている部分は、一般的に払った金額より少なくなります。
しかし、まだ充当されていない金額については、全額がそのまま返ってくる形になります。
学資保険は貯蓄性の高い商品のため、解約をしないのが一番です。
しかし、緊急で必要になった際は、少し金額は減るものの手元に戻すことはできます。
学資保険に加入するときや、加入後も頭の片隅に置いておいてください。
契約後に学資保険の支払い方法を変える方法

「とりあえず月払で加入して、生活に余裕が出てきたら年払に変えたい」
「今加入している学資保険を年払に変えたい」
という声をよく聞くので、変更方法をお伝えします。
学資保険だけでなく、他の生命保険でも同じことが言えるので、ぜひ参考にしてください。
契約した月でないと払い方は変えられない!
じつは払い方はいつでも変えられるわけではありません。
ほとんどの場合、契約月以外は払い方の変更を受け付けていないためです。
契約月は契約した日によるので、後で変更することはできません。
(例)の場合は年払の保険料が毎年2月に引き落としになり、月を変更することはできません。
(例)の契約で8月に年払に変更すると、余りの月ができてしまいます。
それだと保険料を全て払い込むことができないので、払い方の変更は2月のみとなります。
学資保険の保険料の払い方を変更する流れ

まずは担当者に「年払(前納など)に払い方を変えようと思っている」と伝えていただくのがベストです。
その際に
- 「保険料はいくらになるか」
- 「どのタイミングで変更できるか」
などを合わせて確認しましょう。
担当者がいない場合などは、コールセンターで問い合わせることも可能です。
問い合わせる場合は、証券番号のわかるものを手元に準備しておくことをおすすめします。
保険会社や払い方によっては、即日で回答を得られないこともあります。
余裕を持って、手続きに臨みましょう。
手続き内容は保険会社によって様々ですが、書類1枚で済む場合、何度か手続きが必要な場合もあります。
担当にしっかり確認しましょう。
学資保険の保険料を年払いにする場合、何月がおすすめ?
年払にするとまとまったお金が必要になるので、お財布に余裕があるタイミングの方が嬉しいですよね。
そのため、ボーナスが入った後に保険料の引き落としがある方がいいと話される方が多いです。
年払の保険料の引き落とし月は、契約月によって決まるため、契約する月をずらすことで調整が可能です。
(例)冬のボーナスが12月上旬に入る方の場合
11月中に手続きをすると契約日が12月1日となるので、12月の保険会社が指定した日に保険料が引き落としになります。
まとまって払える月をあらかじめ候補にしておいて、相談する際に希望を話して契約日を調整するのがベストと言えます。
あとから変更できないので、いつ契約手続きをするかは慎重に決定しましょう。
まとめて払って家計を圧迫しては意味がない

少しでも返戻率をよくするために、払い方を年払や一括払に変える方がたまにいらっしゃいます。
同じ金額を受け取るのであれば、支出は最小限に抑えたいという気持ちはよくわかります。
しかし、まとまった金額を払うことで日ごろの生活に支障が出ては、元も子もありません。
事実、現代の日本では貧困層が増えています。平成28年に厚生労働省がおこなった国民生活基礎調査では下記のように記されています。
平成 27 年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分、熊本県を除く。)は 122 万円となっており、
「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合、熊本県を除く。)は 15.7%(対 24 年△0.4
ポイント)となっている。また、「子どもの貧困率」(17 歳以下)は 13.9%(対 24 年△2.4 ポイ
ント)となっている。
「子どもがいる現役世帯」(世帯主が 18 歳以上 65 歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員につい
てみると、12.9%(対 24 年△2.2 ポイント)となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では
50.8%(対 24 年△3.8 ポイント)、「大人が二人以上」の世帯員では 10.7%(対 24 年△1.7 ポイ
ント)となっている。
学資保険は将来の教育資金を効率よく準備する手助けをする保険です。
教育資金の準備はもちろん重要ですが、今お子さんと過ごす時間を大切にするのも同じぐらい重要ではないでしょうか。
学資保険の保険料支払い方法まとめ
学資保険と保険料の払い方について確認していきました。
加入を検討している方は、希望の払い方を見積もりの際に伝えておきましょう。
担当によっては、払い方別のシミュレーションを提示してくれないこともあります。
事前に払い方も含めて、要望をまとめておきましょう。
既に加入している方でも、払い方を変えることで返戻率がよくなることがあります。
気になる方は、契約時の書類を確認するか、担当者に問い合わせてみましょう。
少しでも効率よく教育資金を準備するために、払い方という視点から学資保険を考えるのも検討の材料にしてください。

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