学資保険に限りませんが、保険料の支払いは、月払いか年払いかを選択することができます。
保険の検討で、一番初めに設計書を渡されるときは、恐らく月払いで提案されるでしょう。
それは、「毎月いくらの出費」というイメージがしやすいためであって、必ずしも「一番いい支払い方法だから」というわけではありません。
月払いは、毎月決まった金額を、所定の日に保険会社に支払う方法です。
それに対し、年払いは、1年間分の保険料をまとめて、年に一回支払います。
これだけみると単なる回数の違いのように感じますが、実は、月払いよりも年払いの方が最終的な返戻率が高くなるのです。
その理由を順番に解説していきます。
学資保険の年払いが月払いより「お得」な理由

まず、年払いの方がどうして返戻率が上がるのかをみていきましょう。
保険会社の手間が少ないと、保険料は安くなる
保険料は、銀行口座からの引き落とし、またはクレジットカードで支払っている方が多いと思います。
その場合、引き落としにかかる手数料は、契約者は負担していません。
ということは、毎月、銀行やカード会社を利用するための手数料は保険会社が負担しているということです。
それが年払いになることで、保険会社は手数料を大幅に軽減できますから、月払いの契約よりも保険料を割安に設定できるのです。
保険会社の運用期間が長くなる

保険会社は金融機関ですから、契約者から預かったお金を運用して利益を出していきます。
そのとき、月払いで少しずつ預けるより、まとめて1年分を預けてしまった方が、元手も大きくなり運用期間も長くなるということになります。
そのため、年払いの方が返戻率は高くなるのです。
学資保険の保険料を年払いにするとどれくらい返戻率が上がるの?

気になるのは、学資保険で預けたお金が、いったいいくら増えるのか…ということですよね。
これは商品によるため、一概にはいえませんが、一般的な学資保険を念頭にシミュレーションしてみましょう。
子どもの年齢が0歳、18歳まで払込、満期金300万円のケース
月払い保険料15,000円の場合、18年間の支払総額を3,240,000円。返戻率92.5%
年払い保険料178,000円の場合、18年間の支払い総額は3,204,000円。返戻率93.6%
年間では2000円の差かも知れませんが、最終の返戻率でみると、確かに上がります。
これは、少しでも多く…と考える方にとっては、大きなメリットといえますね。
月払いと年払いの割引き率は、保険会社の定める年平均利回りと、加入時の年齢などによって変動します。
「この商品にしようかな」と見通しがついたら、詳細なシミュレーションを取り寄せて検討することをおすすめします。
返戻率が高い学資保険については下記の記事で解説をしています。
関連記事⇒学資保険の返戻率ランキング【最新版】
学資保険の保険料における年払いのデメリット

年払いにもデメリットはあります。
契約者に万が一のことがあったら
それは、契約者が死亡または高度障害になってしまったときです。
その場合、学資保険の保険料は、「保険料払込免除特約」によって免除されます。
この特約を使うことになった場合、月払いのケースでは、手続きの翌月から保険料が免除になりますが、年払いの場合はその年の保険料をすでに納めているため、免除は翌年からになります。
そのため、手続きの月から起算すると、最大11か月分の支払い差額が生まれる可能性が出てしまうのです。
とはいえ、これはレアケースです。また、家族が亡くなったときに学資保険の差額を恨む…なんてことは、想定しにくいですよね。
確かにデメリットではありますが、考え過ぎないようにしましょう。
学資保険の保険料を月払いにするメリット

返戻率にこだわらなければ、月払いにもメリットはあります。
月々の計画が立てやすい
年払いの方が多く貯まると分かっていても、一気に大きな金額を用意することが難しい場合は、月払いの方が計画的に保険料を支払っていけるでしょう。
たとえば、月末のお給料日のあとに保険料の引き落とし日がくるならば、面倒なことなく保険料を積み立てていくことが可能です。
月払いは「団体払い」が可能な場合がある

もし、勤務先に、提携の保険会社が出入りをしているなら、その保険会社で契約をすることで「団体扱い」にしてもらえる可能性があります。
団体扱いとは、一定数以上の社員がいて、まとめて契約が見込めるときに、企業と保険会社が提携を結んで「保険料の給与引き落とし」をできるようにするという制度です。
民間の保険会社で契約しているのに、それが給与明細に記載されており、給与から差し引かれている場合は、それが「団体契約」です。差し引かれた保険料は、企業がとりまとめ、あわせて保険会社に支払います。
そうすることで保険会社は、まとまった契約をキープできるのと同時に、引き落としに関する手間も省けますから、団体扱いの契約はほんの少しですが保険料は安くなります。
ただし団体払いを取り扱っている企業はそう多くはありません。
また、退職したら自分の口座から引き落とされるよう手続きをしなくてはなりませんから、注意が必要です。
学資保険の保険料の月払いと年払い、変更方法と注意点

今の支払い方法がどちらにしても、経済状況などに合わせて、支払い方法を変更したいと考えることはあるでしょう。
そのときのポイントをまとめて解説します。
支払いを変更したいときは
支払い方法を変更するときは、保険会社に申し出て、書類もしくは専用端末などを利用して手続きをします。
手続き自体は簡単です。必要なものは、契約者本人であることの確認と、書類の場合は印鑑程度です。
ただし、支払い方法の変更と同時に、「引き落としの口座も変更する」「銀行引き落としから、クレジットカードに変更する」などを一緒に手続きする場合は、キャッシュカードやクレジットカード、口座情報など必要になります。
いざ手続き!というときに「そういえば…」と申し出ても、二度手間になってしまうこともあるので、どのように変更をしたいのかはあらかじめ担当者・窓口に伝えておきましょう。
変更できる月が決まっているケースがある

支払い方法の変更は、いつでもできるわけではありません。「月払いから年払いへの変更」ならいいのですが、年払いから月払いへの変更となると、変更できるタイミングに差が出てしまうのです。
学資保険の契約の、一番はじめを思い出してみてください。たとえば3月23日に手続きをしたからといって、直後の3月25日に引き落としがされたわけではないですよね。
保険の診査や手続きが終わって、いざ「成立」してから、1回目の保険料を支払ったはずです。
つまり、申し込んだ日ではなく、成立して1回目に支払いをした月が重要。
もしあなたの契約が、「年払い、3月に申し込み、4月末に1回目の支払いをした」というものであれば、その年払いを月払いに変更するためには、4月にまた引き落とされてからでは遅いのです。
「次の4月の年払いをストップして、それ以降を月払いに変えたい」という場合は、少なくとも2月までには手続きを進めましょう。
保険会社・銀行・クレジットカード会社、それぞれに「手続きの締め日」が異なるため、保険会社での手続きが済んだからといって、希望通りに進まないこともあります。
また保険会社的には、変更開始年の前月(ここでは3月)までに、保険料の払い込みが必要な場合もあります。
これは各契約や会社によって異なるため、「必ずしもすぐ手続きができるわけではない」ということを念頭に、まずは問合せをしてみましょう。
学資保険の保険料を年払いにするときは、時期に注意!

学資保険を検討して、「ちょうど、出産でいただいたお金があるし、年払いの方がお得なら」と、安易に加入してしまうと、後から大変なことになってしまいます。
その年は良くても、翌年から同じ月に、同じだけのまとまったお金が必要になる…ということを忘れずに。
家族のことでお金がかかると分かっている月など、なにかと物入りな時期は避けた方がいいかも知れません
年払いの思わぬ落とし穴!?秋の契約には注意

新規で学資保険に加入するとき、「11月が誕生日だから、その直前に加入したらいいかな…」などの理由で、加入時期を決める方もいると思います。
また、「ボーナスがあるから、12月がいいかも!」という方もいらっしゃるでしょう。
しかし10月・11・12月末の引き落としになっていて、会社員の方が契約者の場合、ちょっとした落とし穴にはまってしまう可能性があります。
それは、年末調整。
学資保険も保険料控除の対象なので、年末調整をして税金を還付してもらうことができますが、それには、会社に提出する「生命保険料控除証明書」が必要です。
「保険料控除証明書」は、保険会社が10月あたりから準備をして、契約者に順次郵送されてきます。
しかし、10月に発行された証明書には、11月・12月末に引き落とされる年払いの保険料は、当然まだ記載されていません。
会社によって変わりますが、年末調整の書類提出は11月が多いでしょう。
すると、せっかく払った年払いの保険料を、年末調整に反映できないということになってしまうのです。
救済措置として、仮の金額で提出し、支払い確定後の証明書を再度提出…ということも可能ですが、それには結構な手間もかかります。
毎年保険会社に電話をして、証明書の発行を会社の提出に間に合うか尋ねる…という方もいらっしゃいます。
10月末が引き落としの場合は、11月に入ってすぐに保険会社に申し出て、「支払いの確認ができたら、すぐに保険料控除証明書を送って欲しい、会社の締め切りが〇日なのでそれまでに」などとお願いをすれば、間に合うこともあるでしょうが…実際、面倒なものです。
それが満期まで続くというのは、避けられるなら避けたいですね。
会社員ではなく、ご自身で確定申告をする方は問題ないかと思いますが、学資保険に限らず、年払いの契約は年の前半にできるのなら、ベストです。
まとめ

返戻率のことだけを考えるなら、月払いより年払いの方がメリットは大きいでしょう。
しかし、学資保険は長く支払っていくものです。その時期に、まとまったお金を用意することが可能か、家計とじっくり相談をしてみてください。
また、年払いへの変更は「いつでもOKなわけではない」ということと、「時期によっては落とし穴がある」ということも理解したうえで、ベストな支払い方法を検討してみてくださいね。

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