学資保険7つのデメリット
物事には必ずと言ってよいほど裏と表がありますね。
良いに悪いは付き物なんて言い方もあります。
大の仲良しの友人の長所が、短所に感じた瞬間、ありますよね。
これから学資保険のデメリットについてお話ししますが、その中には「メリットだったんじゃないの?」と思われる事もあります。
同じ1つの事柄も見方を変えれば別の意味を持つという事です。
ご自身に最適な選択をして頂くためには、その両面を十分に理解する事が必須だと考えますので、ややこしいと思わずお付き合い下さいね。
学資保険のデメリット~年齢制限と保険料払込期間
お金は金融機関に長く預けておけばおくほど利息が付いて増えますよね。
今は大変な低金利ですが、それでもこの原則自体は変わりません。
これは保険会社についても言える事で、貯蓄性のある保険は契約期間が長ければ長いほど、保険料のわりに満期金が多かったり、解約時の返戻金が増えたりします。
ところが学資保険は、契約期間、つまりお金を預けておける期間が決まっています。
期間が決まっているものに対して高い返戻金を保証しようとすれば、保険会社がすべき事は、支払いが始まるまでの猶予をできるだけ長くする事と、元本全額をできるだけ早く回収する事だと考えます。
学資保険にはプラン(契約内容)を決める上で幾つか制限があります。
その中でも、
- 加入できるお子様の年齢を低く設定
- 保険料払込期間の制限
この2つが特徴的だと考えますが、これらが高い返戻率を保証するための秘訣だと言えるでしょう。
各詳細は保険会社や学資保険のタイプによっても異なりますが、ソニー生命の場合、加入可能なお子様の年齢は最高で3才、プランによっては0才のみです(加入条件・ソニー生命の例をご参照下さい)。
公式HP:ソニー生命
この制限は決して緩いものではありません。
この点は1つデメリットと言えるかもしれませんね。
先日、共に27才のご夫妻に出会いました。
お子様がご誕生したので学資保険に入られました。

ご夫妻は大学入学時から5年間にわたり学資金を受取れるタイプで、ご自分達に可能な限り払込期間を短くしたプランを選択されました。
それから約2か月後、再びご夫妻が訪れ、じつは上にもう1人子供がいて、その子の学資保険にまだ入っていないので入りたい、との事でした。
しかし、上のお子様は5才でした。
誕生されたばかりのお子様は学資保険のタイプもプランも自由に選ぶ事ができましたが、上のお子様は、まず年齢制限が1つの弊害になりました。
結局、下のお子様と同じようなタイプで5才でも加入可能な保険会社を探し、その中で最も返戻率の高い所にご加入されました。
お子様が6才や12才まで加入できる保険会社もありますが、そういう会社が重要視している事は、返戻率の高さとは違うところにあるのでしょう。
学資保険も「保険」です。
ご家庭やその時の状況によって、返戻率以外に優先すべき事もあると思いますので、皆さんそれぞれに合ったものをお選び下さいね。
お子様の加入年齢と払込期間の関係について言える事を以下に書いて、この章を終えます。
- 選択できる払込期間の内、最も長い期間を選択した場合、加入できるお子様の年齢が最も低い
- 満期までの期間が長く、かつ払込期間を短くした場合、加入できるお子様の年齢が最も高い
学資保険の加入条件については下記記事で詳しく解説をしています。
学資保険と加入条件~年齢や病気によっては入れない?FPがソニー生命やかんぽ生命の条件を解説
学資保険のデメリット~返戻率の高さと保険料負担の大きさが比例
返戻率を高くする方法は、保険料払込期間をできるだけ短期に設定する事です。
また保険料払込期間が同じでも、月払いより半年払い、半年払いより年払いにすれば、返戻率は高くなります。
その理由は、保険料は可能な限りまとめて払う方が割引が有り、結果、累計保険料が少なくなるからでしたね。
しかし、この事に伴うデメリットがあります。
それは、保険料はまとめればまとめるほど割引があるとは言え、1回の金額が高くなるという事です。
保険料の払い方は契約内容の核になる部分なので、加入後に変更する事はできません。
返戻率の高さを追求した結果、やりくりが大変になり中途解約なんて事になると、せっかく子供のためにと決めた皆さんの気持ちが台無しになってしまいます。
こんな事のないよう保険料の払い方は慎重に決めて下さいね。
学資保険のデメリット~契約者にも年齢制限がある
年齢制限は、ご契約者にも設けられています。
そしてこちらにも、ご契約者の年齢に応じた保険料払込期間の制限があります。
払込期間を長くすればするほどお子様の年齢制限は厳しくなりますが、それはご契約者についても同じなのです。
ご契約者の年齢制限と、お子様の加入年齢・保険料払込期間との関係は以下の通りです。
ソニー生命の学資保険で1例を挙げます。

大学などの進学時から毎年の教育資金の準備として、18才、19才、20才、21才に進学学資金を22才に満期学資金を受取る事ができるⅢ型では、保険料払込期間10年・お子様の加入年令0才の場合、男性は62才、女性は70才までご契約者になれます。
しかし、同じプランでもお子様が3才になると、ご契約者の年齢は男性53歳、女性62才まで制限されます。
また、中学・高校・大学などの進学に合わせ、12才・15才に進学学資金を18才に満期学資金を受取る事ができるⅠ型の20才満期・保険料払込期間17年(お子様の加入年齢0才のみ)では、男性35才、女性42才となります。
こうなると、なかなか厳しいですよね。
ところで、加入可能なお子様の年齢を制限しなければならない理由は分かります。
学資金を受取れる中学・高校、そして大学などの時期は、お子様の年齢で確定しますからね。
しかし、ご契約者に年齢制限を設ける理由、更には先の例でお気付きの人もいらっしゃると思います、女性より男性の方が年齢制限が厳しいのは何故でしょう?
この件について考えられる事を次章で述べますね。
学資保険のデメリット~保険料に反映される死亡のリスク
男性より女性、そして、より若い人がご契約者になった方が保険料が安くなる事はメリットの中でお話しました。
この事が意味する事は何でしょうか?
それは、保険料にご契約者の死亡のリスクが反映されるという事です。
前章で、ご契約者となれる人の年齢、更にはその制限が学資金受取りまでの期間や、保険料払込期間機関の長さに応じて異なる事も確認しましたが、その理由も死亡のリスクなのです。
ではなぜ、学資保険にご契約者の死亡のリスクが反映されるのでしょうか?
そうです、万一ご契約者が亡くなられたら、ご契約内容はそのままに以後の保険料は免除されるからです。
「保険料が安くなるという事は返戻率が上がるという事!だったら学資保険は子供の母親を契約者にして加入すれば良いんだ!」
そう思った人も少なからずいると思いますが、以下に、ご契約者をお子様のお母様にした場合のデメリットをお話します。
母親が契約者になった場合の学資保険のデメリット~保険料払込免除
メリットとして、保険料払込免除という仕組みをお話ししました。
保険料払込期間中にご契約者が死亡した場合、契約内容はそのまま維持されるものの、以後の保険料は一切不要となるというものでしたね。
もしも保険料払込期間中に、一般的には女性より死亡のリスクが高いとされる男性であるご主人(お子様のお父親)が他界したらどうなるでしょう?
ご主人の方が奥様より収入が多いというご家庭は多くありませんか?
このご家庭もそうだったとして、このご家庭は稼ぎ頭を失ったにも拘らず、学資保険の保険料は免除されません。
奥様(お子様のお母様)は今後も遺族年金やご主人が遺した死亡保険金、そして奥様自身の収入から学資保険の保険料を払い続ける事になります。
実際に厚生労働省が平成28年におこなった平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告では全体の8%が死別が原因でシングルマザーになっています。

出典:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告|厚生労働省
収入の多くを旦那さんが得ている家庭の場合、奥様が契約者になるのはリスクが伴うと言わざるを得ません。
母親が契約者になった場合の学資保険のデメリット~生命保険料控除
支払った保険料が一般生命保険料控除の対象になる事も、メリットとして述べましたが、ご契約者を奥様にした場合、生命保険料控除を受けられる人も奥様になります。
収入によって変わる所得税や市民税、ご主人のその種の税金を節約できれば…と思っても、ご主人の生命保険料控除として活用できないのです。
ただし奥様が専業主婦であるなど、ご主人が保険料負担者である事が明らかな場合は、ご主人が生命保険料控除を受けられます。
国税庁のHPでは生命保険控除について下記のように記されています。
妻が契約者の生命保険料
Q1
妻が契約者である生命保険契約について夫が保険料を支払っている場合、夫が支払った保険料は夫の生命保険料控除の対象となりますか。A1
生命保険料控除の対象となる生命保険契約等とは、一定の生命保険契約等で、その保険金等の受取人の全てをその保険料の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。したがって、この要件が充たされている限り、保険料を支払った夫の生命保険料控除の対象になります。(所法76)
そうではなく、ご主人が生命保険料控除を限度額一杯活用していて、奥様にも収入があり生命保険料控除の限度額に余裕が有るという場合は、奥様が活用する事で税金が安くなります。
この点は十分な検討材料になりますね。
学資保険のデメリット~中途解約
中途解約をした場合の解約返戻金は、プランやお子様の加入年齢、保険料払込期間、加入後の経過期間などによってかなりの違いがあります。
返戻率の高いご契約の場合は解約返戻金が元本を上回る事もありますが、多くの場合は払い込んだ金額より解約返戻金は少ないとお考え下さい。
こうなると実損も出ますから、少なくとも無理なプランのせいで中途解約なんて事にならないよう、特に保険料払込期間は慎重にお決め下さいね。
学資保険のデメリット~育英年金は無い
こども保険というのがあります。
幼稚園、小学校、中学校などのご入学に合わせてお祝い金が受取れ、更に18才や22才のご契約満了時に満期金が受取れるという保険です。
この保険は学資保険ほど返戻率が高くないのですが、ご契約者が死亡した場合、ご契約満了まで毎年、育英年金を受け取れるようになります。
勿論、ご契約内容はそのまま維持されながら保険料の払込も免除されます。
学資保険にはこのような育英年金はありません。
受験に間に合わない?受取り開始18才
大学は受験する時から、かなりの費用がかかります。
受験料は勿論ですが、大学が近隣にあるのか県外なのか、県外だとしてもどの程度離れているのかによって交通費に大差が出ます。
宿泊代が必要になる事も大変多いです。
更に受験校が複数となれば、費用は益々嵩みます。
従って大学の教育資金は、入学ではなく受験に間に合うよう準備するのが安心だと言えます。
そこで、特に大学の学資金を備えるために学資保険に加入しようとお考えの皆さんに、ご注意頂きたい事をお話します。
例えばお子様が早生まれの場合、お子様の出生後すぐに加入しても、18才受取り開始で加入すると受験に間に合わない事が起ってしまいます。
そういう場合は、出生前加入をお勧めします。
学資保険は毎年の加入応当日にお子様が1才加齢したと考えるので、出生前加入なら早生まれのお子様の場合でも18才受取り開始で受験に間に合うようにできる可能性が高まります。
出生前加入は、ほとんどの保険会社でお子様の出生予定日の140日前から可能ですよ。
あるいは選択が可能なら、17才から学資金を受取る契約にすれば良いでしょう。
17才から学資金を受取るという事は、21才で全額を受取る事になりますので、学資保険で備えたお金の全額が学費として活用できる事になります。
そういう意味では18才から受取り開始の場合は、最後22才の満期学資金が大学の学費というより就職(大学院に進む場合はそのための費用)の準備金になる可能性があります。
受験にも十分間に合い、全額を学費の備えにできる17才受取り開始。
しかし、受取り開始が早い分、保険料は高くなり返戻率も下がります。
それなら、やはり18才受取り開始にする…かは、ご家庭の状況にあわせてご検討ください。
出生前の学資保険への加入については下記の記事で詳しく解説をしています。
出産前に学資保険に入れる?子供が産まれる前に出生前加入する3つのメリット
学資保険のデメリットまとめ
以上、後悔の無い選択のために是非知っておいて頂きたいデメリットを7つお話しました。
年齢制限など、なかなか厳しいものもありましたね。
祖父母様から時々、孫が生まれたお祝いに自分が契約者になって、自分の口座から保険料を払う形で学資保険に加入したいというご相談を受けます。
しかし、ご契約に至らない場合が多いです。
1番の弊害は、ご想像通り年齢制限です。
祖父母様の場合、ご契約者になれる年齢を超えている事も多いです。
年齢的に大丈夫でも、ご契約に至らないケースとして保険料の問題があります。
理由の1つ目は、祖父母様の場合、年齢の関係で保険料払込期間も短く設定されるので1度の保険料が高額になる事です。
2つ目は、金銭的に余裕があり、お得なら、むしろ全額前納したいという祖父母様の場合でもご契約に至らないケースです。
その理由はご両親がご契約者になる場合と比べ、累計保険料が高くなる事です。
ご契約者になっている祖父母様の中には、ここまで説明されずにご加入している人も多くいらっしゃいます。
この辺は皆さんが気を付けてあげて欲しい点です。
背中合わせのメリットとデメリット。
学資保険ラボでは学資保険の返戻率やランキングも紹介しています。
何かと細かい事をお話しましたが、両面を十分ご理解頂き、愛するお子様のためにご夫婦で一杯悩んで、最適なプランをお選び下さい。
幸せな悩みですよ、ご健闘をお祈りします!

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